漢方薬相談ブログ

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漢方の専門家に聞いた漢方薬を自分で買って飲んでも 無意味な理由

  1. 医者のせいで漢方薬の効果が誤解されている
  2. 漢方薬に症状を抑える成分は含まれていない
  3. 西洋医学と漢方の症状の考え方の違い
  4. 漢方薬が合っているかどうかは飲んだ後にわかる
  5. 漢方薬の効果がわかりやすいとは限らない
  6. 漢方薬の副作用

うちの相談では、ごくごくたまにしかそういう人はいませんが、それでもたまに相談だけして「漢方薬名だけを聞き出そうとする人」がいます。

うちに相談に来られている患者さんにこの話をすると「そんな厚かましい人がいるんですか!?」という常識的な反応が返ってくるのですが、これがいるんですよ。

その中には医者も含まれていて、患者さん曰くの厚かましい人どころか、もっとゲスかったりします。

多分、このパターンの人って無料で相談して、後はどこか安物の漢方薬を自分で買って飲むとかなんでしょうけれど、(医者はもっとゲスい理由ですが…)そもそも、漢方治療で、こんなことしても無意味なんです。

どこかの先生に漢方薬名を教えてもらって、それを飲み続けてもそれは単なる『運任せのギャンブル治療』

不妊症やアトピーの治療だと最早、『運任せ』どころか、漢方薬を飲むこと自体が『有害』にもなりかねない理由をお話ししたいと思います。

医者のせいで漢方薬の効果が誤解されている

恐らく、誤解があってこういう行動につながるのだと思いますが、『漢方薬は病院の薬のように症状を直接、治すものではありません』

「えーでも医者が体質も診ずに単に病名や症状だけ聞いて、不妊症に当帰芍薬散を出したり、ニキビに十味敗毒湯を出しているじゃないですか!」

そうなのです。そもそもの誤解は、『医者は漢方の医学理論のことも知らないし、体質も診断できない』という事実。

単に漢方薬メーカーさんからもらった本来の漢方理論とは全く関係のない『西洋医学の病名に東洋医学の漢方薬を対応させた謎マニュアル』を見て出しているだけ。

つまり、そのマニュアルがあれば、医者じゃなくても誰だって同じことができます。

当たり前ですが、西洋医学の病名と東洋医学の体質は何の関係もないので、本来は西洋学の病名で漢方薬を選べるわけがないのです。

その謎マニュアルは治療のためでなく、東洋医学である漢方薬を正式な医薬品として販売するために西洋医学の理論しかなかったので、医療の法律上、仕方なく漢方薬に無理やり西洋医学の病名などを設定したものになったのです。

ですので、漢方薬を処方している医者も『なんとなくその症状がその漢方薬で治るんじゃない?』程度の根拠?しかないという状況になっちゃったのです。

機会があれば、「どういう理論理屈で治るのか?なぜ数ある漢方薬から私にはそれでないとダメなのか?」を聞いてみてください。

答えられないでしょうけれど、『マニュアルに書いてあるから』という素人丸出しの根拠だと思いますよ。

そんな感じで誤解されている「漢方薬の非常識」が「今の漢方薬の常識」になっていて、あたかも『漢方薬は症状を直接、治すもの』みたいになっちゃったのです。

漢方薬に症状を抑える成分は含まれていない

漢方薬は直接、症状を抑えたり無くしたりはしません。

病院の薬には症状を抑える成分が含まれています。

例えば、痛み止めは体内で痛みを発生させる酵素を抑える薬の成分を飲むことによって、一定時間だけ痛みを抑えます。

痛みを止める根拠は、その成分が痛みを発生させないようにするからです。

ところが、漢方薬にそういった成分は含まれていません。

かゆみを止めたり、湿疹をなくす成分なんて含まれていないし、めまいを止める成分も含まれていません。

もちろん、ホルモンを活性化させる成分もありません。

そもそもホルモンを活性化させたから妊娠するのであれば、病院のホルモン剤をじゃんじゃん飲みまくれば妊娠しますよね。

では漢方薬は、どうやって治すのかというと、病院の薬のように直接、何かの成分が症状を止めるのではなく、症状を発生させている『原因』を治すことによって症状が出ないようにします。

西洋医学と漢方の症状の考え方の違い

病院の薬のほとんどは、『症状を一定時間だけ止めるだけ』のものでこれを『対症療法』と言います。

医者はこれを治療と呼びますが、一般の人の感覚からすれば、これは『その時だけ症状を抑える応急処置』です。

ですので、その薬理の理論から、病院の薬は、いくら飲み続けても根本治療にはなりません

一方、漢方薬は症状を出している原因を治します。

ちょっとわかりにくいですよね。

例えば、アトピーの人。

病院では湿疹やかゆみの原因は免疫反応だとして、その部分的なかゆみを抑えるために免疫を抑えます。

でも、そもそも免疫って、風邪や腸炎から守ってくれる人間の持っているバリアー機能なので、それを抑えてどうするの?って話なのですが。

漢方では湿疹や痒みを直接、抑えるのではありません。

免疫を抑えるわけでもありません。

漢方では人それぞれの気や血や水の巡りの状態、各臓器の機能やその連携具合がどうか、冷えや熱の巡り、体の湿気や乾燥の度合い、食べ物の影響などなどを全身の状態やその人の生活環境、生活リズムなど合わせて考え、総合的に『今の病的な体質』を分析します。

そして、そのアンバランスな状態を調整してくれる漢方薬を選びます。

「似たような湿疹のある人達」でも、ある人は、それが「熱のこもりと肝臓の問題との関連」で起こっていたり、ある人は「水の巡りの悪さと消化器や腸の機能低下との関連」でが起こっていたり、またある人は「月経のホルモンが湿疹と関係していたり」と、『湿疹とかゆみ』という状態が似ていても、体内の原因は人それぞれ、全然、違っていたりします。

またその原因の更に原因となるものも食べ物が原因だったり、寝不足が原因だったりと、これも人それぞれ違ってきます。

当然、原因が違ってくれば、選ぶ漢方薬も変わってきます。

病院や勉強不足の漢方薬局では『誰にでも同じような種類の漢方薬』しか出しませんが、本来は、1つの病気で大体、『40パターン、40種類以上の漢方薬の中から選ばないといけない』と考えてもらえればいいと思います。

だから、ざっくりした病名や症状からしか選ばない病院の漢方薬は『単なる運任せ』なんです。

漢方薬が合っているかどうかは飲んだ後にわかる

漢方薬で治そうと思ったら、更に厳しい条件があります。

それは僕みたいな漢方の専門家が選んだ漢方薬も『一度、飲んでみた後にしか体に合っているのかどうかがわからない』ということ。

これは世界一の漢方治療の腕を持っていても条件は同じです。

本来の漢方治療では漢方薬を選ぶ前に全身の問診や生活のことを分析して、体質を診断しますが、実は実際に漢方薬を飲む前はこれは『推測』でしかありません。

漢方薬は、直接、症状を抑える成分が含まれているわけではないので、原因をなんとかしないと症状は延々と続きます。

でも、その原因は『推測』でしかありません。

1つの病気で大体、40パターンもの原因が考えられるわけなので、もしかしたら、選ばなかった他の39パターンの中に本当の原因があるかもしれないのです。

もちろん、専門家である僕は知識と経験、漢方的感覚で合っているものを選ぶように確率をあげていますが、やっぱり最後は飲んでみないとわかりません。

漢方薬の効果がわかりやすいとは限らない

そして、飲んでみたらわかるかというとそうではありません。

ここからが、更に漢方治療のややこしいところですが、まず漢方薬に直接、症状を抑える成分がないということを思い出してください。

つまり、自分の気になっている症状から抑えられるとは限らないのです。

例えば、「不要な熱がこもって肝臓の機能が低下しているというタイプ」の人の場合、湿疹にほとんど変わりがないのに、最初は「のぼせは無くなった」「頭痛がなくなった」という変化があるかもしれません。

普通は湿疹自体が良くなっていなければ、合っていない漢方薬だと思いがちですが、初期は「不要な熱がこもっている人の熱が取れてきている変化があった』場合、これは熱をとっていくという漢方薬は方向性として合っている、そして不要な熱が湿疹の原因なので、すなわち治療方針とあっていて治ってきていると判断できます。

詳しくは「漢方薬が効いているかどうかの確認は素人の方(医者含む)にはできない理由」

漢方治療の基本は、

『原因(現在の病的な体質)を推測』『飲んだ結果を詳しく聞いてして答えあわあせ』『判断した体質や治療方針で合っているかを検証する』『このまま漢方薬を続けてもよいのか、変更するかの判断をする』

これが一連の治療の流れになっているのです。

飲み終えた様子を聞く前は合っているかどうかすらわかりません。

ですので、『漢方薬名だけ聞いて自分で勝手に飲んでも』極端に言えば、全く合っていないこともあるし、そもそも『体が変化してくる期間』が足りていないのかもしれません。

漢方薬の副作用

漢方薬の副作用は『体質と漢方薬が合っていない場合に発生します』

はい、ここで1つ豆知識、つまり体質をハナから分析していない病院の漢方では副作用の判断すらできないということ。

それは置いといて、飲む前の漢方薬は、なるべくベストなものを選んだとしても推測は推測です。

実際は飲んでみないとわからない。

おまけに自分の気になっている症状から治るとも限らないし、更に期間だって人それぞれなので、最初にもらった日数分が効果の出る期間なのかもわからない。

なので、いくら凄そうな漢方の専門家に聞いた漢方薬だからといって、自分で勝手に飲んだだけでは『治っているかどうか』も、『どれくらいの期間を飲めばいいのか』も確認できません。

だから無意味なのです。

例えば不妊症なんて厳密には病気ではなく、不妊症の漢方治療の目的は体全体を整えて、体の弱点をなくしていくことによって妊娠の確率を上げていくものです。

体全体の状態や基礎体温の微妙な変化を感じ取って、いろいろな漢方薬に変更しないといけないので、最初に聞いた漢方薬だけ飲み続けたって、これまた無意味なのですね。

冒頭で医者がゲスいと話をしたのは、例えば患者さんから、うちから出している漢方薬名を聞き出して「うちなら同じものを安くで渡せるよ」と自分が安くしているわけでもなく、赤字まみれの税金(健康保険)を使ってるのに、自分の無知などそっちのけで、素人丸出しの漢方薬を無責任に勧めたりします。

病院の薬での治療は実質は薬をマニュアル的に選んで配っているだけなので、漢方薬も同じようにマニュアルで選んだものを飲んでおけばいいと思ってしまいがちですが、漢方治療は、漢方薬の効果を引き出すための専門家のフォローとアドバイスがないと無意味な薬になる可能性が高いです。

漢方治療は専門家(医者除く)と二人三脚で治していくものと考えた方が成功しやすいです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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