漢方薬相談ブログ

漢方薬相談ブログ

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)は結構、危険な薬

今更、医者の漢方薬を選ぶ時の簡単マニュアル処方!には、驚きませんが、うちの患者さんから、花粉症で診察に行った時に、一切、体質を判断するための問診もされずに麻黄附子細辛湯をずっと処方されていたという話を聞きました。

先日もこちらの記事「名医20人が自分で買って飲んでいる「市販薬」実名リストを公開!」(記事の医者の意見にもツッコミどころ満載ですが、それは後日)で、『風邪には葛根湯(1番)や麻黄附子細辛湯(ツムラなら127番)を薦める医師がいる』と書いてありました。

記事の内容からして、明らかに体質なんかどこ吹く風邪ということだけで、マニュアルで葛根湯や麻黄附子細辛湯を薦めているみたいです。

もちろん、漢方薬は、いろいろな体質のタイプを持った人に合わせて処方しますので、花粉症に麻黄附子細辛湯や風邪に麻黄附子細辛湯というのは、あり得ないわけではありません。

問題は、数ある、花粉症や風邪で使うとされている漢方薬の中から選ぼうとしないで、患者さんの体質を診る前から、花粉症に麻黄附子細辛湯、風邪に麻黄附子細辛湯とマニュアルで決めていることなのです。

当たり前ですが、漢方薬は体質に合わせます

ちなみに花粉症だと、この辺の漢方薬のうちで体質に合うものを選びます。

【花粉症でよく使用される漢方薬】
大青竜湯、桂枝湯、桂麻各半湯、桂枝二麻黄一湯、麻黄二桂枝一湯、麻黄湯、葛根湯、小青龍湯、桂枝湯、麻杏薏甘湯、五苓散、薏苡仁湯、防已黄耆湯、苓甘姜味辛夏仁湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、麻黄附子細辛湯、甘草附子湯、茯苓四逆湯、麻杏甘石湯、五虎湯、越婢加朮湯、清鼻湯、神秘湯、麦門冬湯、小建中湯、十全大補湯、平胃散、小半夏加茯苓湯、二陳湯、人参湯、黄連解毒湯、辛夷清肺湯、桔梗湯、荊芥連翹湯、十味敗毒湯、柴胡桂枝湯、加味逍遥散、逍遥散、当帰芍薬散、大黄甘草湯

『花粉症だったら、葛根湯か麻黄附子細辛湯でいいじゃね?』バカみたいなノリで処方するのではなく、上の漢方薬の中から、その人の今の体質に合いそうなものを選びます。

この中に葛根湯も麻黄附子細辛湯も入っていますが、40種類のうちの、たった2つなのです。

もう1回言っとこ、たった2つ!

漢方薬は体質に合わせるので、花粉症を持っている体質は40種類にもわかれるのです。

当たり前ですよね。

単純に『花粉症で慢性的な耳鳴りがある』『花粉症で喘息がある』だけで体質は全く変わってくるのですから、花粉症というたった1個の状態に合わせて「葛根湯だ!」「麻黄附子細辛湯だ!」というのは、漢方の世界では、あり得ないッ!!わけです。

すみません。医者が、あまりにも適当な処方をしているので熱くなってしまいました。

本題に戻ります。

花粉症や風邪には麻黄附子細辛湯に限らないということです。

そして、漢方薬の副作用は、体質と漢方薬が合っていなければ、副作用となります。

そして、長い間、体質と合っていない漢方薬だと知らずに飲み続けると、その病的体質が定着します。

でも、これだけだったら、全部の漢方薬に危険リスクがあるわけです。

麻黄附子細辛湯の危険さは、これだけではありません。

麻黄の効果と危険さ

麻黄附子細辛湯に限らず、漢方薬では要注意の漢方薬や生薬があります。

それが、麻黄附子、あと、いろいろありますが、特に警戒しないといけないのは防風通聖散などに含まれる大黄です。

大黄に関しては、また今度にでも書いてみたいと思います。

これまた、医者はインフルエンザには麻黄湯ですよなんてお気楽マニュアルなことをよくいってますが、麻黄が含まれる漢方薬は、僕ら専門家からすると、『果たして、処方してよいのかどうか』慎重に考えないといけない処方です。

なぜなのか?

それは、麻黄の特性にあります。

麻黄は成分的にはエフェドリンという覚せい剤の原料になるものが含まれています。

基本的に漢方は化学的成分とは関係ないですが、これもおぼえておいてください。

それよりも、麻黄は薬性が非常にきついです。

麻黄の効果は『性は温、辛苦、発表解表、表の利水、平喘』です。

この中の『発表解表』というのは、汗と気を発散させるというもの。

『表の利水』とは、皮膚表面の水の巡りを整えます。

これだけだと、「良い効果があるだけじゃん」という感じですが、漢方薬の生薬には強さ、弱さがあります。

例えば、『発表解表』の効果は、他にも「桂枝」や「葛根」にもありますが、『麻黄』は圧倒的に強いのです。

で、強いと何がダメなのかというと『汗を出させる』という効果が『脱汗』になり、利水効果も強く、こちらと結びつくと、ただの『脱水』という病気になります。

危険さは、まだまだ、ありますよ。

この『発表解表』の効果は、汗だけでなく、発散させる効果なので、蕁麻疹や湿疹などを『爆発』させたりすることもあります。

実際、アトピーの方なんかは、『葛根湯』『麻黄がつく名前の漢方薬』で湿疹が爆発した経験が多いです。

更に麻黄が合わない場合は、胃を荒らします。

次に附子の危険さを説明しますよ。

附子の効果と危険さ

附子の危険さは、一言でわかりやすく表せます。

附子とは猛毒のトリカブトのことです。

はい、これで危険さがわかりますね。

もちろん、これだけではありません。

附子の効果は『性は大熱、大辛、回陽救逆、温脾腎、散寒止痛』そして、『有毒』です。

トリカブトですから、そりゃ有毒ってなりますよね。

回陽救逆というのは心不全などで人事不肖に陥っている人に強い強心作用で助けます。

一見、効果が高そうに思いますが、心臓が元気な人に心臓に電気ショックを与えるようなものです。逆に止まります。

毒をなぜ、使うかというと、強烈なひどい状態は、強烈な作用で治すのです。

強烈な状態だったら、薬になり、それほど、きつい状態でなければ『毒』になります。

まだまだ、難儀な点がありますよ。

大熱という効果です。

氷のように冷たい冷えを強烈な熱で治してくれます。

これも、氷までいってない普通の冷えの人だったら、附子によって、不用な熱がこもってしまいます。

附子には強い鎮痛作用があるので、痛み止めと勘違いしている先生がいますが、あくまで、『強い冷えからくる痛み』に対しての効果です。

危険でもあるし、効果が強すぎて、処方する人間からすると効果を読みづらいのですね。

漢方薬の強い効果は強い副作用にもなる

漢方薬は、標準的には8つほどの生薬で構成されています。

多いものになると24種類くらいになります。

そして、漢方薬は、中の生薬が少なくなるほど、作用が強烈になります。

しつこいですが、『漢方の場合は、作用が強烈になると良いわけではありません』

なぜなら、体質と合わなければ、副作用も強烈になるからです。

麻黄附子細辛湯は、麻黄、附子、細辛という生薬で構成されています。

全部、徹底して熱をいれて温めるもの。

なので、風邪でも、よほどの冷えからくる以外は滅多と使いません。

麻黄附子細辛湯を使う前に、使いやすい漢方薬なんていくらでもあります。

また、花粉症なんて、だいたいが上半身に熱がこもって、起こります。

不用な熱がこもっているところに更に強い熱をいれるなんて、暖房、ガンガンにかけて、のぼせたところに、石油ストーブをたいて、鼻血を出させるようなものです。

病院の漢方薬のマニュアル処方をみていると、無知って、ある意味、気楽でいいなと思う時があります。

漢方薬を東洋医学の医学理論で選ばずに病名や症状だけでしか選んでいない場合は、いつのまにか、よくわからない病気になっているかもしれないですよ。

→ご相談ご希望の方はこちらの 『漢方無料相談』 に現在の体の状態を入力し送信してください。

→「お問い合わせ及び、来店、電話、メール相談のご予約」はこちら まで。

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

著者の詳細情報はこちら

FacebookTwitter

関連した記事

インフルエンザに麻黄湯という素人すぎる病院の漢方薬
インフルエンザに麻黄湯というマニュアル処方は最低な方法です。漢方薬を処方する場合は常にその人の今の体質をみる必要がありプラスどのタイミングでどの漢方薬を処方するかを考えることが必要です。
「インフルエンザに効く麻黄湯」という医者のデタラメな説明
なんでもネットで調べられるこの時代に、未だに医者というライセンスだけでデタラメがバレないと思っているような説明を患者さんにしていました。
風邪の漢方薬は葛根湯だけではありません
風邪だったら葛根湯という処方は、実はヤブ医者の代名詞です。漢方では風邪の場合の治療も体質をみて漢方薬を選びます。
漢方薬の副作用が病院の薬より怖い理由
漢方薬の副作用は、体質と合っていない漢方薬を飲むと発生する可能性があります。つまり、東洋医学的な体質や効果も考えずに漢方薬を処方されている場合は、余計に病気がこじれていく可能性があるということです。
自分の花粉症の漢方治療
僕は、自分のいろいろな病気を病院に行かずに治します。なぜなら、病院の薬は一時的に症状をごまかすだけだからです。