漢方薬相談ブログ

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鍼灸師が教科書通りの漢方薬を知った風に話すのはやめてほしい

うちで時々、あるのですが、通っているところの鍼灸師から「〇〇の漢方薬」を飲んだ方がいいよ。と言われました」なんて話があったりします。

あれ、僕にとっても、患者さんにとってもすごく迷惑な話なんですよ。

患者さんもまともに聞かないほうがいいです。

なぜなら、東洋医学においては、そんなアドバイス、いい加減もいいところなので。

なぜ、いい加減なアドバイスだと言えるのか?

それを事細かに説明しますね。

僕は鍼灸に救われたました

のっけからこんな感じで書くと、僕が漢方薬を扱う漢方家だから、鍼灸師が嫌いなの?と思われるかもしれませんが、嫌いどころか、僕は人生で最大のピンチをとある鍼灸師さんに救ってもらっています。

詳しくは2つのブログをお読みいただけたらと思うのですが、要約すると、人差し指の怪我の後、指が拘縮(関節が固まって曲がらなくなる)して、6つの病院のお医者様から『絶対に治らない!』とお墨付きをいただいたものを鍼灸治療で治してもらいました。

どこの病院も治せなかった拘縮の治療日記(病院治療編)

どこの病院も治せなかった拘縮の治療日記(漢方鍼灸治療編)

命に関わるわけではないですが、僕はギターとピアノをやっていたので、拘縮し、どこの医者も「治りませんよ。でも仕事には支障ないでしょ」という言葉で絶望のどん底に突き落とされたのは忘れません。

かえって『鍼と漢方薬のみでなんとかしよう!』という踏ん切りはつきましたが。

結果、見事に治り、ギターもピアノも支障なく楽しんでいますが(今は革命まで弾いているくらいです)、その先生が僕に弟子入りしたいとのこと。

実はずっと東洋医学のことをちゃんと知っている先生を探していたらしいのです。

そして、時期はずれますが、もう一人、鍼灸の先生でうちの子の股関節を治してくれた先生も僕に弟子入りしたいと言ってこられました。

『なぜ、僕に弟子入りしたいのか?』

理由を聞くと驚くべきことがわかりました。

鍼灸師は実はまったくわかっていないことがある

僕の指を治してくれた先生、大阪の某鍼灸学校の非常勤講師をやっていたり、そこの院長や学長に言いたことが言えるような間柄だったり、筋ジストロフィーの鍼治療をしていたりと、何を今更、勉強することがあるの?というような実力のある先生がですが、なんと『証』がとれない。

『証』とは何かというと、いわゆる『体質』のことです。

『その病気や症状の東洋医学的な体内の原因』とも言えます。

例えば、漢方薬も医者は西洋医学の病名や症状から東洋医学の漢方薬を選ぼうとします。

こんな方法、ちょっと考えれば医療知識がなくても、「西洋医学と東洋医学って何の関係もなくね?」とわかります。

その通り、東洋医学の漢方薬や鍼灸と西洋医学は何の関係もありません。

漢方薬も鍼の治療も西洋医学の病名ではなく、東洋医学の体質分析に基づいて治療方法を選びます。

なぜ、西洋医学の病名で漢方薬を選ぶというデタラメが通るようになったのかは、またの機会にお話しますね。

とにかく、鍼灸学校ではツボの位置や鍼のさし方などは習いますが、体質をどう分析するのかは何も習わないそうです。

医者と一緒で、〇〇病とか、肩が凝っているなどにマニュアル的に対応しているものをおぼえて鍼治療するらしいです。

さすがに鍼灸師で一人も証を取れない人がいないのはおかしいと思いましが、その先生は、あらゆる勉強会に出て、鍼灸業界で顔も広く、鍼灸治療の研究をしている人も知っていますが、一人も『証』を分析できる先生は見つからなかったそうです。

もう一人の弟子になりたいといった先生もハッキリ『体質(証)の分析方法は習ったことがない』と言っておられました。

漢方薬や鍼の治療は、まず『体質(証)』がわからないと、どんな治療方法(漢方薬)を選べばいいのかわからないのに、その最初の体質診断ができないのです。

要するにそもそもが東洋医学的な治療になっていないということですね。

舌や脈ってアテにならない

「いやいや、鍼灸師は「舌」や「脈」を診ているから大丈夫」

そう思われるかもしれませんが、考えてみてください。

確かに漢方薬でも、舌や脈から診断する方法もありますが、実は舌や脈からわかることは、体質の一部で、『舌や脈だけ』で体質全体を診断することはできません。

やはり、しっかりした問診があってこその診断です。

それに舌や脈って「感覚だより」ですよね。

僕も舌や脈を視る理論的なことは理解していますが、しかし、とてもじゃないですが、よほど極端な状態でない限り、舌や脈で診断はできません。

「何か色のつくものを食べた」「走ってきた」「実はいつもよりも緊張している」

これだけで舌や脈は体質と関係なく大きく変わります。

それに、何人もの人の舌や脈の状態なんか覚えられると思います?

僕はギターとピアノをやっているので、普通の人よりも指の感覚は鋭いと思いますが、それでも、何人もの人の舌や脈の微妙な変化なんて、判断するのは無理です。

つまり、ああいったものは大半が「その人の思い込み」で成り立っているのです。

全員が全員できないとは言わないですが、よほど才能のある選ばれた人でないと診断に使えるレベルではないと思いますよ。

東洋医学は経験医学

病院の治療は、診断方法や薬のことは教科書を覚えればできるようになります。

難しいことをやっているように見えますが、救急や外科手術、特別な病気の治療以外の医者は要は教科書やマニュアル通りに治療?をやっています。

ところが、鍼や漢方薬はそうはいきません。

漢方や鍼灸もいろいろな教科書がありますが、本格的な教科書に書いてあるのは、体質の診断の方法だけでなく、その考え方や漢方薬の効果のことではなく、漢方の効果に対する考え方が書いてあります。

なぜ『考え方』を教科書で教えているかというと、治療の方法をマニュアル的に書いても実際の現場で通用しないからです。

鍼も漢方薬も『人それぞれ体質が違う』という前提で治療します。

例えば、一般的には『風邪に葛根湯』ですが、漢方の専門書になると麻黄湯、桂麻各半湯、桂枝湯、桂枝人参湯、香蘇散など実際には、その時の人それぞれの体質や風邪のステージの違いなどによって25種類を使い分けます。

25種類の漢方薬はどれも風邪に使うので、マニュアル的には使い分けられません。

「その時のその人」によって臨機応変に使い分けなければいけません。

『臨機応変に使い分ける』には、教科書を何度も読んだり、暗記しても無意味。

実際に使ってみて、失敗したり、成功したりしながら『自分の風邪の漢方治療の方法』体得していくしかないのです。

だから、『その人に合っている漢方薬』を選ぼうと思ったら、教科書のことを知っているのではなく、教科書のことを知った上で、いろいろな体質の人の漢方治療を経験する必要があるのです。

本当の漢方治療をするためには?

真剣にその人を治すためには、教科書で覚えた知識をひけらかしても意味がありません。

まずは、病名や症状だけでワンタッチで漢方薬を選ぶのではなく、全身の問診をとって、その人の『体質(証)』診断すること。

そして、それを元に何度も何度も失敗を繰り返して、自分の漢方薬の治療の方法を体得していくしかありません。

ですので『全身の体の状態や症状を調べない』『証が分析できてない』『実際の漢方薬の治療経験を日々、積んでいない』人のアドバイスなんて、軽すぎて、レベルが低すぎて、逆に有害だったりします。

ちなみに僕は、弟子さんからの情報で、うちの患者さんに「大半の鍼灸師は、体質(証)が実はみれない」「滅多に東洋医学的に治療できる鍼灸師はいない」という話をしますが、実際の治療に対して口出しはしたことがないです。

もし、証を診断できて、証にしたがって施術ができる先生がいれば、連絡ください。

うちから紹介しますので。

●ヘルニアや五十肩などでお悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

●お問い合わせは、こちらから送信してください。

●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 霊枢:たにぐち書店
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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