漢方薬相談ブログ

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以前に効かなかった漢方薬でも再び飲んで良くなる理由

うちの相談ってターミナル的なところがあって、「病院や漢方薬局で今まで、いろいろな漢方薬を出してもらったけど、どれも効かなかった」なんて経験をしている人の相談が多かったりします。

こういうタイプの方って、こちらから漢方治療を提案しますと、『今まで飲んだことのある漢方薬なら過去に効かなかったのでいりません』的なお返事をされることがあります。

普通に考えれば、過去に病院や漢方薬局で出してもらった漢方薬を飲んでも治らなかったわけだから、そりゃ、せっかく相談したのに同じ名前の漢方薬だったらガッカリですよね。

でも、この状態、漢方だと過去に治らなかった漢方薬だからといって、また飲んでも治らないとは限りません。

それどころか、実は治るはずの漢方薬を治らないと勘違いしてやめてしまっているかもしれないのです。

治ったかもしれない漢方薬をやめてしまっている場合、うちみたいな店以外だったら、まず再び出すことがないので、見方を変えれば、この後、他のどの漢方薬を飲んでも治ることはありません。

なまじ、漢方薬を飲んだことがない人よりも治りにくい事態にハマったりします。

なぜ、以前に効かなかった漢方薬でも再び飲んで治ることがあるのか?

その理由を説明します。

この理由をちゃんとわかっていないと治りもしないのに延々といろいろな漢方薬を飲み続ける漢方ジプシーになっちゃいますよ。

漢方薬の効果は症状を抑えることではない。

まず、大前提として『漢方薬は病院の薬のように症状を一定時間、抑えることが目的ではない!』ということを覚えておいてください。

詳しくはこちら「漢方薬が効いているかどうかの確認は素人の方(医者含む)にはできない理由」」をお読みいただけたらと思うのですが、病院の薬は化学成分で無理やり体内の働きを封じて、頭痛やかゆみなどの症状を一定時間だけ出なくします。

「自分の気になっている症状がなくなっている(ただし一定時間だけ)=治っている」ですね。

一方、漢方医学の症状の考え方は、症状は体内の血や臓器などの不調やアンバランスを知らしめるために警告サインとして発生していると考えるので、症状(警告サイン)を抑えたって意味がないのです。

とにかくを断たなきゃ治りません。

そういった性質上、漢方薬が治すのは症状ではなく体内の不調です。

そして、この体内の不調を治す時、かならずしもあなたの気になってる症状からとれてくるとは限らないということ。

つまり、頭痛を治したいのに、頭痛がなくならないでオシッコが増えるという変化から治療効果として現れるのです。

ここから漢方治療の場合は、「頭痛がとれてない」からといって効いてないわけじゃないという理屈が成り立ちます。

これが1つの大前提。

そして2つめの大前提。

自分にあった唯一無二の漢方薬があるわけじゃない

これもよく勘違いされていますが、世の中に自分に唯一、合っている漢方薬があって、それさえ見つかれば、いろいろスーッと治っていくと思っている人。

漢方の医学理論では、気候や生活環境が変わることによって体質も変わるので当然、漢方薬も変わるのです。

ですので、今まで治らなかったのは、唯一無二の自分の漢方薬が見つかっていないのではなく、単に漢方薬を処方した先生の腕が悪いだけなんですよね。

では、この2つの前提。

1漢方薬は症状を抑えることが目的ではない。

2唯一無二の自分にあった漢方薬があるわけではない。

を踏まえて、なぜ、一度飲んでも効かなかった漢方薬を再び飲んで治ることもあるのかの理由を説明します。

頭痛でも全身を治していく

自分の気になっている症状からなくなるとは限らないので、当然、ある漢方薬を飲んで頭痛が取れなかったとしても『その漢方薬は合ってない』とは限らないのです。

漢方薬は、症状を起こしている体内の不調を治します。

例えば、頭痛には血の巡りの問題、水の巡りの問題、気(自律神経やストレス含む)の巡りの問題、めずらしいのでは胃の冷えから頭痛を起こしたりなどもあり、血の巡りの問題に熱の巡りとホルモンバランス(気)と血の不足が重なっているとか、人それぞれ原因が違います。

大体、頭痛だけでも40種類くらいの原因が考えられますが、本当、人それぞれで40種類以上、ありますから当然、頭痛のあるなしの問診だけでなく、全身の状態を調べて体質(原因)を診断しないといけません。

そして原因が水の巡りだと診断すれば、水の巡りとオシッコやめまいが関係してれば、頭痛だけでなくオシッコや汗、便、めまい、耳鳴りなどの様子も合わせて観察していきます。

もちろん、大体は最初に頭痛がよくなってきますが、時には「頭痛は変わらず、オシッコの量が増えて、めまいがひどくなって耳鳴りがマシになった」

みたいな良くなった症状や悪くなった症状、何も変わらない症状がごちゃまぜに出てきます。

良かったり、悪かったりが混ざっていたら、それこそ合っているかどうか、わかりませんよね?

だから体質を分析したら、今度は治療方針を立てます。

漢方薬に症状を直接、抑えるものなんて存在しませんので、その人の全身の症状の中でどの症状がどんな風に変わったら治っていると判断できるかを漢方薬を処方する前に治療方針として設定するのです。

これを弁証論治とか方証相対とか、方証吟味とかいいます。

漢方薬だって検査みたいな感じで体質を診断し、どうやって効くのかを考える治療方針が必要なのです。

大半の病院や漢方薬局の漢方薬の選び方はいい加減

なぜ、以前に飲んで効かなかった漢方薬でも、うちでは選ぶことがあるのか?

それは大半の病院や漢方薬局は、体質も判断しないし、治療方針も考えずに患者さんから2、3の症状だけ聞いてマニュアルだけみて漢方薬を処方するからです。

漢方薬は症状を直接、抑えるものではないので、「頭痛に五苓散」とか「めまいに苓桂朮甘湯」ってマニュアルで処方しても効く根拠がないのです。

それが効くかどうかはただの『運』

漢方薬は医学であって賭け事ではありません。

でも、実際は賭け事のようなノリで処方されているのです。

そんな体質の分析もなく治療方針も考えられていないいい加減な漢方薬を飲んでみて治らなかったと言われても、「そりゃ治らないでしょうね」とし言いようがないです。

僕からすると手順を正しく踏んでいない漢方薬は、最初から飲んでいないのと同じなのです。

『飲んでから、どれくらい経った時に体のどこにどんな変化があったのか?』

もちろん、悪い変化も含めて。

例え、頭痛だけ、めまいだけ、湿疹だけであっても常に全身を観察して、『果たして治療は正しく進んでいるのか?』を処方した先生が分析した体質と治療方針に照らし合わせて、その先生自身が検討しないといけないのです。

本に書いてあるから、ツムラやクラシエなどの漢方薬メーカーからもらった資料や本に書いてあったから…

漢方ではそんな他人任せの暗記頼りの思考が停止したような治療は通用しません。

詳細に患者さんのことを考えない漢方で治るわけがない

どれだけ、医学理論的にしっかり分析、診断、思考して漢方薬を選んだのか?

そして、飲んだ後にちゃんと経過を観察したのか?

これらのことをちゃんと行って初めて、その漢方薬が効いていたのかどうかが判断できます。

そして治ってくる期間も人それぞれなので、漢方の世界では1ヶ月飲んでも治らなかったというのはアテになりません。

1ヶ月半で効いてくることもありますので。

その他にも『漢方薬の質』『季節と漢方薬の兼ね合い』『漢方薬の効果の方向性があっていても強さが合っていない』『主要な症状を治すまでに他に治さないといけないものがあり、治療に何段階かが必要』だったりといろいろな条件に対しても考えたのかどうかも、その漢方薬が本当に効いてなかったのか?に関係します。

まとめると世間の大半の病院や漢方薬局がやっている病名や症状だけを当てはめて選んだ漢方薬では、テキトーでいい加減すぎて、その時の漢方薬が合っているかどうかを考えるまでもないくらいレベルが低い治療になっているのです。
(治療の入り口にも立ってないただの味見)

『そんなレベルの低い先生に選んでもらった漢方薬を飲んでも効かなかった』

そんなの効かなくて当たり前ですよね。

ですので、うちでは以前に飲んで良くならなかった漢方薬については、どんな診断や治療方針があり、どんな経過の観察があったのかを確認し、大体が、テキトーにマニュアルだけ見て出しているだけなので、その場合の漢方薬はあまり意味がないので、同じ名前の漢方薬でも処方します。

という流れになるのです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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